「じゃあ、お母さんお風呂入って来るから、テレビでも見てて。」
「……うん。」
テレビなんて、見る気が起きない。
少しで良い、ソファーに寝ていよう。
そう思ったら、
「柚子希、あんまりこの事故の事、引きずっちゃダメよ。
あれは事故だったんだから。
あなたは悪くない。
絶対に。
零君には柚子希の気持ち、伝わっているわよ。」
お母さんが、優しい表情で言ってくれた。
「……ありがとう、お母さん。」
私がそう言うと、「じゃあ、ゆっくりね。」と、お母さんがお風呂へと入って行った。
……零。
何でこんな事になったの?
零はまだ生きたかったよね?
零は今年の修学旅行、大阪行くから楽しみにしてるって言ってたよね?
「お土産、楽しみにしてよろっ!!」って、笑顔で言ってくれたよね?
ねえ、零。
「返事位、してよね―――――――――……。」
また、涙が溢れる。
返事なんか、来ないのに。
私はこれから、お母さんがお風呂から上がるまで、リビングのソファーに座って泣いた。
電気も、テレビも、何もかも消して。