「……零君ね、助からなかったの。
この事故、後ろから大型トラックが、零君の家の車に突っ込んだの。
ご両親は、エアバックで助かったらしいんだけど、後部座席にはエアバックが着いていない、つまり、零君はエアバックなんか使えないということなの。
零君、頭が潰れていて、零君だけ…………………。
零君だけ……助からなかっ………………!」
そこまで言うと、お母さんは泣き崩れてしまった。
――零が死んだ。
覚悟はしていたんだ。
こうゆう話を切り出されるじゃないかなって。
――ううん。
本当は覚悟なんかしていない。
心のどこかで、期待していたんだ。
零は死んでない。
ケガをしただけだって。
障害が残るような大ケガでも良い。
零が生きて、いれば。
記憶喪失でも良かった。
話をしたかった。
携帯での会話ならした。
ラインだって、した。
でも、直接話はしてない。
したのは、先月。
夏休み。
何だか、イキナリすぎて、涙が出ない。
そうだ、これはドッキリだ。
私が泣いた所で、「俺は死んでねーよ、騙された〜〜〜♪」って、出て来るもん。
こう思っている自分もいる。