柚子希Sibe
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「事…故………?」
それは、突然お母さんが言った。
「零君ね、ご両親と一家揃って、事故にあったらしいの。
ご両親は助かって意識はあるものの、母親は、足に障害が残る程の大ケガを負ったみたいで……………………。」
こんな時にこう思うのは酷かもしれない。
でも違う。
私が聞きたいのは、零の両親の事じゃなくて――――――――……。
「零はどうなったの?」
私がそう言うと、お母さんは困った様な、悲しいような表情を浮かべた。
「……柚子希、落ち着いて聞いてちょうだい。」
さっきの困惑の表情を振り払い、真剣その物の表情になったお母さん。
リビングのテレビ、ラジオなど、雑音がいくつもあるのに、お母さんの声しか聞こえない。
――胸騒ぎがする。
何だか、この話を聞いちゃいけないような―――――――。
「心の準備は良いの?」
「――うん。」
聞かなきゃ、いけない。
真実を知らなきゃ。