「……あ、やっぱり柚子希だ〜〜〜。」




「茉夜(まや)ちゃん、花菜子(かなこ)ちゃん!」






私に話し掛けて来たのは、親友の茉夜ちゃんと花菜子ちゃんだった。



「柚子…希……っ、さ、さっきさっ、バナナの皮踏んづけてバク転し……………っ、きゃははははは!!」




花菜子ちゃんが、話ながら爆笑した。


花菜子ちゃんが言っているのは、さっきバナナの皮を踏んづけ、十メートル位滑った後、バク転した時の事だろう。




「あっ、あれは間違ってバナナの皮を踏んづけて…………!!」



慌てて弁解する私。


恥ずかしすぎて、死ぬっ!!




「でも、『間違って』って事は、ぼーっとしてたって事だよね?

……柚子希、何か悩みでも?」





先程までにこにこ笑顔だった茉夜ちゃんが、急に真剣な顔付きになった。



鋭いね、茉夜ちゃん………………。






でも、



「えへへー、大丈夫だよ、さっきはドジっただけだから。

バカだよねー、今時バナナの皮なんて。」



言えない。


心配、掛けたくないから。




無理矢理作った笑顔は、ちゃんと笑えているかは分からない。





零が死んだなんて、言えないよ――――――――……。