朝の会が始まり、

教室に井上先生が入ってきた。


井上先生の視線が一瞬だけ、

ほんの一瞬だけ俺に向けられた。


でも、

その目はいつもと変わらない目だった。


いつもと変わらない一日が始まっていく。


井上先生は

俺の病気のことを知っていても、

別段態度が変わるわけでもなく、

いつもと何も変わっていないかのようだった。


朋樹も普段と同じように俺に話しかけてきて、

俺が昨日、

病気のことを打ち明けたのが

嘘だったかのように感じた。


でも、

時折朋樹の目が悲しく見えた。


だから俺は昨日のことは嘘でも、

夢でもなく、

まぎれもなく現実なんだということを実感した。


もちろん、

綾は何も知らないから、

いつもと変わらずに俺に接してくる。


こうして、

今日一日は終わって行った。


家に帰り、

ベットに寝転がりながら携帯を開いた。


すると、

綾から一通のメールが来ていた。