「修くん、何見るの?」


「ん?何でもないけど…
桜が散り始めたなって……」


「そうだね。
桜って咲いてる時も綺麗だけど、
散っていく時もすごくきれいだよね。」


「うん。
だから俺、桜大好きなんだ。」


「そうなんだ。私も!」


そんな話をしていると、

また井上が近付いてきた。


「ごめんなさい」


俺たちの声が重なった。


それがおかしくて、

俺たちは顔を見合せて笑った。


そんなことをしているうちに、

朝の読書の時間は終わった。



朝の会が終わり、

放課になると綾が俺に本を差し出してきた。


「この本読んでみて。
すごく感動するから!」


「ありがとう」


そう言って俺は、

本を受け取った。


表紙は淡い青の色で、

綺麗な絵が描かれていた。



俺は、

さっそく読もうと本を開こうとした。