家族の顔が

ぼやけ始めてくる。


父さんが涙を流していた…。


初めて見た光景だった…。


音は何も

聞こえなくなっていて、

みんなの口が

動いているのだけが見える。


病室に医者が入ってきて、

俺のもとに

駆け寄ってくる。


自分の体のことは、

自分が一番よく

わかってるつもりだ。


もう時間は残ってない

ってことくらい……。


枕もとに立てられた

写真立ての写真の方に

顔を向けた。


6人で撮った写真……


最高の笑顔が

そこにはあって…


俺の最高の人生が

ここにあったことを

示していた…。