俺はもう一度塚本 

綾という生徒の方を向いた。


ちょうど、

むこうもこちらを向いて

目が合ってしまった。



少し恥ずかしくなって、

目をそらしてしまったが、

なんだか嬉しかった。


初めて朋樹と会った時の

あの時と同じ感覚だった。


俺はこれからの学校生活に

少しだけ楽しみが持てた。


俺の人生、

捨てたもんじゃない…。


なんとなくだけど、

そんな風に思うことができたんだ。



俺がそんなことを

考えているときも、

井上先生は話を続けていて、

早く終わらないか

俺は時計を見ながらそわそわしていた。