「本当に……
本当に寂しかったんだから……。
修君には私のことを
覚えていなくてもいい。
そう言ったけど、
本当は……
そうやって言う自分が
苦しかった……。
私のこと忘れないでって、
私のことをずっと覚えていてって
そう言えたら
どれだけ楽なんだろうなって
思ったけど、
そんなこと言えないよ……。
だって修君はひとりで抱え込んで、
一人で戦ってるんだもん……。
言えないよ……
そんな無責任なこと……。」


俺は綾の心の気持ちを

聞いてしまった。


何か声をかけてあげるべき

なんだろうけど、

何かしてあげるべき

なんだろうけど、

俺には何を

言ってあげればいいのか、

何をしてあげればいいのか

わからなかった。


だから、

俺はただうつむいたまま

綾の話を聞いてあげた。


「でも……
どれだけ苦しくたって
離れたいだなんて
思えなかった……。
よけい離れたくないって
思ったんだ……。」