だけどそれは、

叶わないことって

わかってる。


だから俺は、

この病気に感謝してるんだ。



綾の笑顔を見れるのは

当たり前だ。


俺でいられるのは

当たり前だ。


綾が隣にいるのは

当たり前だ。


俺の気持ちがこのままだってことも

当たり前だ。


そう思って疑わずに

生きていたのかもしれない。


そう思ったら

俺の病気にも意味があったのかな?


そう感じることが

できるようになった。


俺は服のポケットから

指輪を取り出して、

綾の前に差し出した。