でも、

本当はこんな話をしたって

記憶は戻らないってことくらい

わかってる。


だけど、

思い出せなくても

綾と話せているだけで

俺は本当にうれしかった。


綾には、

好きな本や好きな歌手、

誕生日や思い出のこと

いろいろ教えてもらった。


だけど、

指輪のことは

綾は話題に出してこなかったし、

俺からも

綾に聞こうとはしなかった。




いつか思い出した時……


その時に知るのが

一番良いと思ったからだ。




こうしているうちに、

俺たちの毎日は

過ぎて行き

綾の誕生日もこえて、

3年の2学期も終わり、

冬休みに入った。