教室に残された

俺と綾は

向かい合って座り、

さっきまでと変わらず

勉強を始めた。


何か話そうと思っても、

何を話せばいいのか

分からないし、

話す内容が見つからない。


今、

綾に話したいことと言えば、


『元気出したみたいで良かった。
昨日のこと、ずっと心配してた。』


ってことだけど、

今はそんなこと話せるような

雰囲気じゃないし。


俺は話す言葉が

見つからなくて

黙ったまま、

鞄から他の教科書を取り出し、

取り出した教科書を

見つめていた。