今まで忘れていた現実を

目の前につきだされて、

俺はただ戸惑い、

成す術なく

立ち尽くすしかなかった。


症状の進行は

前よりもさらに

ひどくなっていて、

俺は目を覚ますたびに、

記憶を少しづつ失っていった。


意識が途切れ、

目を覚ますといつも見える光景は、

病院の真っ白な天井だった。


清潔感のある

完璧な白だったが、

その白は俺が好きな空の雲のような

心を晴らすような白じゃなかった。


俺の心を

何もない白紙にしていくような、

そんな白だった。


俺はその白が見たくなくて、

手で顔を覆った。