俺はそんな風に、

生徒に対して壁を作ったりせずに

接してくれる井上先生が大好きだった。


「それじゃ!
ばいばい、先生!」


俺はそう言って、

進路相談室を出ると、

走って教室に向かっていった。


進路相談室に残された井上は

ひとり小さくつぶやいた。


「ああやって、
何も悩みが無いようにしているけど、
私より何倍も大きなモノを
背負っているんだな。
本人が一番辛いだろうに。」


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教室についた俺は、

みんなに良い結果が出たと伝えた。


その時に、

一輝が俺に聞いてきた。


「そう言えば、
修ってどこ大志望なの?
やっぱり綾と同じ大学とか?」


俺はその一樹の質問に

だま答えることができなかった。


だから、

今は答えをはぐらかしておこうと思った。