「鈴木…お前はやっぱりすごいな。
私より何倍も大人なのかもしれないな。」
「……。」
その言葉に俺は、
うなずくことはできなかった。
謙遜の気持ちとか
そういうのじゃなくて、
今の自分を見つめたら、
自分が大人だなんて
思えなかったからだ。
「俺は……
大人なんかじゃないです。
だって……」
「どうしたんだ?」
「だって俺は……
自分ひとりじゃ何もできない。
俺がこうやって自分の将来のこととか
考えられるようになったのだって、
前を向いていけるように
なったのだって、
すべて友達が支えてくれたからだ。
俺一人だったら、
何一つ出来ていなかった。」
俺がそう言い終えると、
井上先生は
俺を見つめて言ってきた。