それは俺の綾に対する思いだった。


一度ペンを動かし始めたら、

書く内容を悩んだりする必要はなかった。


今の気持ちを正直に。


それだけを考えてひたすら書き続けた。


「よし!!」


俺は書き終わった手紙を読み返し、

満足したようにうなずいた。


俺はその便箋を封筒に入れると、

本棚の奥にしまいこんだ。


すぐに手紙を開いてしまわないようにするためだ。


それに……


俺がいつか手紙を見つけた時が、

俺にとって

手紙を読むべき時なのだろうと

思ったからだ。


俺は本棚を少しだけ見つめてから、

ベットに倒れこんだ。


壁に掛けてある時計を見ると、

もう夜が明けようとしている時間だった。


「そろそろ寝ないとまずいな……。」


俺はそう小さくつぶやいてから、

深い眠りに就いた。