そして、

俺は日記を書いたノートを本棚に立てると、

机の引き出しから便箋を取り出し、

便箋に手紙を書き始めた。


手紙は未来の自分にあてたものだった。


俺の気持ちはなくなってしまうだろうし、

記憶さえもなくなってしまうかもしれない。


もしそうなった時に、

この手紙を読んで、

俺の気持ちを思い出そうと思ったからだ。


俺はもう一度ペンを握りしめ、

書く内容を考え始めた。


友達のことや、

綾のこと、

書きたいことはたくさんあるし、

そのすべてを書いていたら

便箋は何枚あっても足りないだろうし、

時間もどれだけあっても足りないだろう。


だから俺は今一番書きたいこと、

未来の俺に伝えたいこと、

一番残しておきたい気持ちを

書くことに決めた。