「俺ね、病気なんだ。
春休みの頃に急に伝えられて。
結構重たい病気で、
まだ治す方法がないんだって。
症状って言うのは、
『徐々に心を失ってしまう』。
そんな感じなんだ。
でね、今までも少しづつ自分が、
自分じゃなくなっていくような、そんな感じがしてたんだ。」
「うん。」
「だから、
綾に迷惑をかけちゃうかもしれないから……」
俺が続きを話そうとしたら、
綾が俺に抱きついてきて、
続きを言わせようとしなかった。
「そんなことない!
だから……
心配しなくていいよ……?」
「………。」
予想もしない綾の行動に俺は、
何もすることができなかった。
「はじめて修くんが学校を休んだ頃から
ずっと気になってたんだ……。
それに修くん、たまに遠く見て考え事してるし、
たまに元気がない時があったし。」
「気付いてたの…?」
綾は何でもお見通しだった。
俺が何かを隠していたことも知っていたし、
精一杯元気に、
明るく見せていたのに、
元気がなかったのとかも気づいてて。
「当たり前だよ!
私、修くんのこと大好きだもん。
私なら大丈夫だから……
だからこれからは一人で抱え込んで、
一人で悩まないで?
これからは二人で抱えて、
二人で悩もうよ。」
綾は、
涙を流しながら
笑顔でそう言ってくれた。