『新入生は体育館に移動しろー』

いかにも体育教師みたいな先生が
私達を体育館に誘導した。


『新入生代表挨拶』
『新入生代表、高谷 雷』

え…高谷、雷?

私はふと顔をあげた。
「その名前…」私にはこの高谷雷という名前が聞き覚えにあったのだ。

『さくらが咲くこの季節…を……』

彼が長々と文を読んでいく。
「この声だ…」そう、この声。
昔何度も瑠衣ちゃんと読んでくれたこの声は。

「雷くん…」
「瑠衣?どーしたの?」

そんな美奈の声なんて全然聞こえなかった。私はずっと雷くんをみていた。

『新入生代表の挨拶でした。』
『それでは新入生の退場です』

私はこの日、またあの彼と出会ったのだ