「………っみ…くみっ…」

誰…だ…?

誰かが俺の名前を呼んでいる…

「んっ…」

俺はようやく、誰かの呼ぶ声と共に目が覚めた。

「母…さん?」

そこには、心配そうに見る母さんの姿があった。

「巧!!…ぐすっ…良かった…無事で…」

泣きながら抱き着く母に、俺は訳が分からずただ、じっと母さんを見ていた。

そう言えば…ここ…何処なんだ…?
俺の部屋…じゃねぇよな…?
どっかの個室みてぇだけど…

俺は母さんに聞こうと思い、右手で母さんの背中を叩こうとした…

―――――!?

叩こうにも手が動かない…いや、まるで俺の右腕が無いみたいに片方だけ軽い気がする…

俺は恐る恐る右腕を見た…

「なっ…」

無い…!?
右腕が…肩から下がない…!!

「………………」

そう言えば…あの時、康太と対戦ゲームして…それで最後に康太と勝負しようと…

そうだ!!勝負の前に康太から変な電話がきて、あいつは“罠だ”とか訳の分からない事言って…その瞬間…

「そっか…俺は…本当に右腕を…」

そう呟くように言うと、母さんが小声で「ごめんね…ごめんね…」と何度も謝っていた。

俺を抱きしめる母さんの背中は小さく、まるで母親に泣き縋る子供の様だった。

何故、母さんが謝ったのか分からない。
しかし、俺があんなゲームをしたせいでこんな辛い思いさせてしまった事は確かだ…

けど…あれを辞めてしまえば、今以上に母さんを悲しませてしまう。

だから俺は何としても、あれをクリアする。そして、人間を操り人形みたいに操るあいつらの正体を暴いてやる!!