暑い…。





今日から高校一年の二学期。


制服のシャツが肌にまとわりつく。


もう9月だというのに。


…ガラララ


「ほら、席につけー。」


担任の声に皆席へと戻る。


まぁ、私は最初から席についているけれど。


だって、席をたつ理由なんてないから。


喋る友達もいない。相談する友達もいない。


元々人見知りで引っ込み思案な私。


中学の頃は普通の中学生だったが、高校では同じ中学出身の人もおらず、皆から離れていった。


最初のうちは話しかけてくる子もいたけど、どうやら気が合う友達ができたようだ。


なんでこうなってしまったんだろう。


もう、やだよ…。



「…金崎星です。よろしく。」


懐かしいような、くすぐったいような声が耳に入り、我にかえる。


え…っ、星…?


ごくりと喉を鳴らす。





転校生とは何で人気なんだ。


星の周りにはたくさんの人が集まっている。


キャッキャと飛び交う女子の声。




星…


『絶対お前を迎えにいくからなっ。』


といって遠くへと引っ越していった中学校の同級生。


というか、幼馴染み。いや、彼氏…だったのだろうか。


あの言葉だけは忘れない。


『結婚しような。』


今よりも背が低く、あどけない子供っぽさがあった。


私はその「迎え」をずっと待っていた。


しかし、こんなにも早く迎えに来るとは。


でも、気づいていないのだろうか。


こちらには目もくれない。


勢いよくずっと座っていて温もった椅子から立ち上がった。


「せ、星っ。」


久しぶりに発する貴方の名前。


私の期待とは裏腹に困惑した笑みを浮かべた。