「それでは〜只今より、“JUN写真集、発売記念イベント”を始めます」



会場となるのは、デカイ本屋の一角。



俺の写真集が山のように積まれている棚のすぐ隣。



小さな舞台にイスとテーブル。



サイン会とやらをするらしい。



俺、サイン会とか初めてだし〜。



「さて、今日はスペシャルゲストをお招きしております‼︎」



昨日決まった俺の出演。



だから今日ココに俺が来るのは、今朝発表した。



つまり、まだ発表して3時間ほどしか経ってないということ。



「では、スペシャルゲストのJUNさんでーす‼︎」



新たな一歩を踏み出す時が来た。



「「キャーーー‼︎‼︎」」



…あぁ、俺。



戻ってきたんだ。



俺を待っててくれる人がいた。



俺らがなこの無事を祈ったように。



俺の復帰を願ってくれる人がいた。



涙を流しているファンを見て、今までの俺じゃ気づかなかったことに気づいた。



「どうも。JUNです。本日はお集まりいただきありがとうございます」

「JUNさんお久しぶりです‼︎約三ヶ月ぶりの公の場はどうですか?」

「緊張してますよ〜。出てくるまでお客さんが集まってくれるか心配で…」



司会の人との会話も…



マイクを使っての会話も…



あぁ、俺、今JUNだなぁ。



って実感できる。



「さて、ではこれよりサイン会を始めたいと思います。JUNさんはそちらのイスにお掛けください」

「はーい」



それからは滞りなく進んだサイン会。



12時開始から本屋が閉まるギリギリまで。



たくさんの人が来てくれた。



「なぁケンさん」

「あ?」

「JUNって愛されてるね」

「そうだな。明日のワイドショーが楽しみだ」



ワイドショー?



そりゃ、久々の仕事だったけど…。



ワイドショーを騒がすほどのことはしてねぇぞ?