『JUN写真集、本日発売‼︎』



至る所にそう書かれている。



最近は事務所と自宅の行き来しかしてなかったからか、自分の写真集がこんなに大々的に宣伝されてるなんて知らなかった。



「30分後に始まるから。それまでゆっくりしとけ〜」



我が物顔で、控え室のソファに座るケンさん。



俺のマネージャーのはずなのに、なんでこんなに態度デカいんだろ…。



それがケンさんらしくてイイんだけどさ。



久々の仕事は、やっぱり少し緊張感があるな…。



あの日、早急に作ってもらった一冊は、感情を揺さぶられるモノがあった。



自分の写真集について、こういう風に言うのは変だけど。



この写真集で、何かが変わると思う。



それは“JUN”が変わるのか、“俺”が変わるのか…。



他の何かが変わるのか分からないけど。



写真集が発売されることで、俺に纏わるナニカが変わる気がする。



「なぁケンさん」

「なんだ?」

「お客さん、集まるかな…」

「何弱気になってんだ。俺やコウや雪の力なめんなよ」



そっか。



そうだよな…。



俺のマネさん達は優秀だ。



俺が長期休暇に入る前にやった仕事の発表を、少しずつずらしてくれた。



そのおかげで、世間に忘れられない程度で俺の名前を売ってくれていた。



「ほら、もう少しだ。便所でも行ってこいよ」

「ケンさんも行く?」

「なんでこの歳になって連れションしなきゃなんねーんだよ」

「ははっ」



大丈夫だ。



きっと上手くいく。



“JUN”は少しのことじゃ落ちねぇ…。



そう信じるしかねぇんだ。