……
水のなかに居る感じがする。

心地よいようで、よくない気もする。


水のなかなのに、息苦しくない感じが気持ち悪い。抜け出したいようで、ずっと居たい気もする。


自分の気持ちが分からない。

自分は誰か。
名前は?
家族は?
恋人は?

何者なのだろう。名前……あるのだろうか。そもそも名前って……。

自分は生きてる?死んでいる?
死んでいたら、何で死んだんだろう。うぅ…。……自分は、死体とかそういう類いのものが苦手なようだ。


……自分の事で分かっているのは、これしかない。


今はとにかく、"自分の事"が知りたい。


━━あ゛ぁぁぁ!


声が聞こえる……。誰だろう。目を凝らすと、ずーっと先にナニカがいた。なんだろう。顔は分からないけど、必死そうなのは分かる。……あのナニカは自分の事を知っているのかな。


ナニカがどんどん近づいてくる。あ、髪の毛が黒い。真っ黒だ。僕は……銀色っぽい。長さは、肩にかかるぐらい。僕は……うわ、全然短い!!
びっくり。


今、自分の事を2つ知った……!アイツといると自分の事がいっぱい分かる。もっと知りたい。もっと、もっと…………!!


━━〇〇〇!!!!


なんか叫んでる。なんだろう。

なんか懐かしい響きのするコトバだ。

聞いていたい。

また、叫んでる。同じコトバを。聞きたい聞きたい聞きたいよ。ちゃんと、言葉を━━━


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


あぁ、分かったよこの言葉。懐かしい訳だ。
ナニカはまた、僕の事を教えてくれた。ありがとう。僕の名前は━━━━━━