「……はへぇ!?」思わず、情けない声が出る。不協和音の次は生暖かい液体が飛んできた。

血だ。

目の前には、血の海に立った仮面を被ったヤツがいた。……コイツがクラスメイトを殺ったのか……?
ドンと、言った時間から約3秒位。もう3億人位は死んでるのか。こんな状況で、俺は怖いくらいに冷静だ。話、できるだろうか。開くのを拒むような重い唇を開け、俺は言葉を発した。

「これは、お前が殺ったのか?」

当たり前の事を発してしまった。アイツは何も応えない。仮面をしている分、表情が読み取れない。しかし、俺の事を真っ直ぐ見つめている。殺さないのだろうか。まさか……!!


「お、俺が"殺さない1人"なのか?」


心は冷静でも、体はそうではないらしい。体が少し震えている。声も震えた。……威圧感を与えたかった……っ!俺は死なねー!!


━━ぐあぁぁぁぁッ!!!!


突然アイツが吠えた。……威圧感が半端ない。痛い。こういう威圧感を俺は欲しかった……。

……そういえば、あの意味の分からない━━今となっては、その通りの━━放送でコイツの名前、いってた気が……。なんだっけ。え、エなんとか!


━━が、があがが……!!うぐぅぅ。


……苦しんでる、のか?仮面で顔が分からない。ただ、苦しんでンだったら……助けてやりたい。っ!だめだ。アイツは皆を殺した。特別思い入れがあるわけでもないが、いちよう弔い合戦的なのをやりたい。
……つか、名前名前!!えとえーと……。


━━ヴヴヴあぁ……えじゅぅぅぅめぇぇええ!!!!


うおあっ!は、吐いたぁぁぁ!!!!マジか!大量虐殺やってる野郎が!!!!吐くとき、えじゅめーって━━!!思い出した。アイツの名前。

アイツは━━