エズメがうなずいた。それを合図に俺は教室の机の中に入れておいた仮面を出した。

エズメの被っていた仮面は、灰色で骸骨ような柄をしている。持っていると、呪われてしまいそうなデザイン。それを見ると、作ったヤツはすごいセンスの持ち主だとつくづく思ってしまう。

その仮面を血の海の上に置いた。俺が、振り向きエズメを見ると、エズメは仮面の前に進み出てきた。


「じゃ、いくよ。話かけないで」


エズメは仮面の前に座り、ぶつぶつと念じ始めた。すると、教室に広がった血の海が43つの塊に別れて浮かび始めた。……43とは、俺を除いたクラスの人数だ。すると、教室各所に散らばったクラスメイトの死体に血の塊が吸い込まれていった。


「……すっ…げぇ」


思わず、声が漏れてしまう。

あっという間に教室の血がキレイさっぱりなくなった。


「ん、んん……」
「う?何があった?」
「頭痛ぇ……」
「え、どゆこと?」
「俺は絶好調だぜぃ☆」


皆が続々と起き始めた。……テンションがおかしいヤツがちらほらいるがまぁ、大丈夫だろう。


「……本当に生き返ったでしょ?」


エズメが自慢気に言う。だが、少し疲れているようだ。


「……いっかい、外出ようぜ。めんどくさい事になりそうだし」


「そうだね、行こうか」


いまいち状況が理解できていないようなクラスメイトたちを教室に残し、俺たちは学校を出た━━━。