別にアキのことを隠したいわけじゃない。

アキは、例え植物状態になったって、自慢の幼馴染だし。
知られて困ることなんてないけど、病人のことをペラペラ話すのは気が引けた。

それに、アキの事故のことを話すのは、やっぱり辛い。
泣かない自信なんてないんだ。


「ううん、違うよ?」


なるべく平常心を装って、ニコッと笑いながら言う。

嘘ついてごめんね、咲ちゃん。


「そっか。ごめん、変なこと聞いて」

「ううん」

「もう一人のアキ君ってね、凄くバスケが上手かったんだって。特にスリーポイントシュートは誰よりも綺麗で目が離せないプレイヤーだったって、無くして惜しい人材だって、バスケ部の先輩が言ってたよ」


目が離せないプレイヤー。
無くして惜しい人材、か。

何だろう、自分が褒められたわけじゃないのに凄く嬉しい。