「ねぇ、ケーキ取りに行こ!新しいチーズケーキ出て来たよ」


弥生が話題を変えようと、わざと明るく振舞ってるのがわかる。

えっちゃんは、ホントだ、とすぐに立ち上がって弥生とケーキを取りに行った。


「茜ちゃん、大丈夫?具合悪い?」


私が固まったまま動けないでいると、咲ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んできた。


「…ううん、大丈夫」


本当は大丈夫なんかじゃない。
動揺で、変な汗が身体中から出てきて、手のひらなんてビッショリだ。


「あのさ、もしかしてなんだけど…もう一人のアキ君と、知り合いだったりする?」


咲ちゃんの言葉にドキッとして、肩が揺れる。
つい視線が彷徨って咲ちゃんを見れない。


「ど、どうして…?」

「その話してる時、弥生も茜ちゃんも少し動揺してるように見えたから」