ふっ、と優しく微笑む秋人に、ドキッと胸が鳴る。

ああ、もう!今の反則。
少しの気遣いが、凄く嬉しい。

私は巻いてもらったマフラーに顔を埋めて、赤くなった頬を隠した。


夜の街を並んで歩く。
歩く度に袖が触れるか触れないかの微妙な距離。

秋人はすぐ近くにいるのに心は遠い気がして、寂しくなる。


「ねぇ、ひとつ聞いてもいい?」

「何?」

「小学生の時、噴水公園の木から降りれなくなった私を助けてくれたのって、秋人だったんでしょ?」


アキが死んだ後、アキとの思い出の品を整理していたら、昔の宝物箱の中にオレンジ色のプロミスリングを見つけた。

だいぶ汚れていたけど、大事そうにハンカチに包んであった。

あのプロミスリングが、秋人が私のヒーローだったっていう紛れも無い証拠。