「おはよ~!」



ガラッ!



台所のドアを開けた途端、パンが焼ける香ばしい香りが鼻をくすぐる。


お母さんがジュージューと音を立てながら焼いているウィンナーも、とても美味しそうだ。



「翔太おはよう!」

「んあ~……?……おあよう……」



テーブルに着きながら、向かいに座っている翔太に挨拶をする。


寝ぼけ眼で大きなあくびをしながら返事をした翔太は、私と同じ青葉高校に通う一学年下の弟だ。


サッカー部に所属しているため、髪は邪魔にならないようスポーツ刈りにしている。


性格は私と正反対でかなり積極的。


ルックスもまぁ世間一般ではそこそこと言われる部類に入るらしく、全くモテないわけではないらしい。


今もまだ半分口を開けたままだらしない表情をしている翔太を見ると、とても信じられないのだけれど……。



「!そうだっ!」



寝ぼけていた翔太が、突然目を見開いてその場に直立する。



「姉ちゃんさ、2年C組の水沢潤先輩と付き合ってるって本当かっ!?」



ぶほっ!!



翔太の思いがけない発言に、私は思わず飲んでいた牛乳を派手にぶちまけた。