他に誰もいなくなった水道場に、バシャバシャと勢いよく出された水の音だけが響いている。



潤君が悔しさを全部洗い流すかのように、頭からその水をかぶり続けていた。



「……お疲れ様……」

「……?……」



ビショビショになった潤君が、ブルブルと頭を振ったあと不思議そうにこちらを振り向いた。



「惜しかったね!」



努めて明るく言った私に、キレイな髪の先からポタポタと落ちる雫を手の甲で拭いながら



「まぁな……」



若干寂しそうに口を開いた。