潤君が次々と差し出されるタオルを「悪いけど」と手で制しながら、女の子達の波をかき分けてゆく。
そんな姿もどことなく気怠そうだ。
「クールなところがまたいいのよね!」と、ようやく女の子達が諦めて散ってゆくのを遠目で見ていると
「行かないの?」
「あ……」
苦笑いしながら明里が私の肩をポンと叩いた。
「え!?いや……あの……」
慌てながらも、手にしっかりと洗い立てのタオルを握りしめた私を見ると
「雫のために水沢君は頑張ってくれたんでしょ?」
「うん……」
「なら行っておいで!」
「……うんっ!」
私の背中をバンッと勢いよく叩き送り出してくれたのだった。