―― あと1人……っ!
校庭の誰もが固唾を飲んで見守っている。
妙にシーンと静まり返った校庭に、なおも『ズバン』というボールの音だけが鳴り響く。
ハァハァと肩で息をしている潤君の息遣いまで聞こえてきそうだ。
とっくに体力の限界を超えているであろう潤君が、心を落ち着かせるかのように汗だくになった帽子をとり、透き通るような青空をゆっくりと仰ぐ。
ボールカウントはツースリー。
この一球が勝負。
セットポジションに入った潤君がゆっくりと振りかぶる。
「神様っ!」
胸の前で結んだ私の両手にもギュッと力がこもる。
そして…… ――