―― カキーンッ!



「ワーッ!」



歓声とともに潤君が打った鋭い打球が、キレイに三遊間を抜ける。


一塁ベースに余裕でセーフ。



「水沢君てバッターとしてもすごいんだねっ!」



興奮した明里がピョンピョンと嬉しげに飛び跳ねる。



「だね」



ピッチャーだけでもすごいのに、四番の打順まで任されたうえ見事に期待に応えちゃうなんてどこまですごい人なんだろう……。


無表情な中にも宿る潤君の真剣な眼差しに、再びドキンと胸が高鳴る。



「あれだけのルックスにこの運動神経のよさ!そりゃモテるはずだわ……!」

「うん……」



確かに。冷静に考えてみても、こんなにカッコイイ人なかなかいないだろう。



「ここにいる女の子達もみんな、潤君のこと好きなんだろうなぁ……」

「うん?まぁそうだろうね。雫、ライバル多くて大変だね~!」



明里がバンバンと私の背中を叩きながらカラカラと笑う。



「っ! だからそんなんじゃないって……!」



そう言いつつも相変わらずキャーキャーと盛り上がっている女の子達を見ていると、なぜか心の奥がザワザワと波立つのだった。