1回表、開明高校からの攻撃である。
青葉高校のナインが各々のポジションへと守備についた。……のだが……
「えぇ~っ!?」
驚きのあまり思わず声が漏れる。
「ね、ね!水沢君すごいじゃん!ピッチャーだよ!」
「う、うん…」
人数合わせなのだから恐らくポジションは外野だろうと踏んでいた私は、予想外のことに目を見張った。
……だ、大丈夫なのかな……。
「キャーッ!」
「潤君頑張ってー!」
潤君目当てで集まってきた女の子達から、にわかに黄色い声があがる。
マウンドに立つ潤君が投球練習を開始した。
無表情のまま、セットポジションに入った潤君の長い腕からしなやかに投じられたボールは……
ズバンッ!
お腹にズシリと響くような重厚音とともに、一直線にキャッチャーミットへと吸い込まれていった。
「!?!?」
ボールの感触を確かめるかのように、軽快なフォームで次々と速球を繰り出す。
―― ……ゴクリ
息をするのも忘れて見つめる中
「プレイボール!」
審判のコールと共にいよいよ試合が始まった。