それにしてもなんで潤君が助っ人に?野球なんてできるのかなぁ?


帰宅部であることからして、特別運動が得意とも思えない。


「明日野球部の試合に出るから見に来い」


なんて昨日突然言われた時は、大丈夫だろうかと本気で心配した程である。


野球の試合で頑張る球児達の姿を見ることで、感動して泣けるんじゃないか?というのが今回の潤君の狙いらしい。


だが、いくら協力とはいえ私のために無理をして恥を晒させてしまうのではなかろうかと、内心気が気でならなかった。



「あっ!始まるよ!」



そんな心配をよそに、応援に1人ではなんだからと誘った明里が興奮した様子で声をあげた。



「集合!」



審判の掛け声で、ウォーミングアップをしていたナインが一斉に整列する。



「これより都立青葉高校対私立開明高校の練習試合を始めます。 礼っ!」

「お願いしゃーーす!」



元気のよい選手達の声が、抜けるような青空に響き渡った。