土煙が舞う校庭に、ジリジリと焼けるような日差しが照りつけている。
「まだ7月に入ったばかりなのに暑いなぁ……」
次々と吹き出す汗をハンカチで拭った私は、そんな暑さを物ともせずこれから試合を行おうとする選手達に視線を向けた。
試合が始まる高揚感からか、皆一様に生き生きとした表情をしている。……約1名を除いては……。
ここは7月第一土曜の青葉高校校庭。
我が校の野球部は、甲子園の予選大会でも万年1回戦敗退の、いわゆる『弱小野球部』というやつである。
部員数も試合ができるギリギリの人数しかおらず、校庭で広い面積を使う部活としてはかなり肩身の狭い思いをしているらしい。
土曜日の今日は久々に他校と練習試合を行う予定だったらしいのだが、3日前に選手がケガをしてしまい急遽潤君が助っ人として出場することとなったのだ。