―― ……ジーッ……
「幸せそうだなぁ」
どれくらい時が過ぎたのだろう。
あれから私は時間が経つのも忘れ、ひたすら潤君を見つめ続けていた。
「どうしたんだ?」
あまりにも長い時間だったためか、さすがの潤君も気付きこちらに視線を落とす。
不思議そうに問いかける潤君に、先程の笑顔はもうどこにもなかった。
「……あっ!」
普段の顔に戻っちゃった……。
やっぱり、猫ちゃんじゃないとダメなのかな……。
普段誰に対しても無表情に近いのだから当たり前のことなのだが、笑顔を向けてもらえないことに、なんだか妙に寂しさを覚えた。
「……?」
なおも不思議そうにしている潤君に「なんでもないよ!」と慌てて笑顔で返す。
「ねぇねぇ、猫ちゃんに名前付けてあげようよ!」
なんとなく沈んでしまった気持ちを払拭するかのように、極力明るい声で言葉を続けてみせた。