どうにか笑いをこらえながら、互いに用意してきた猫の餌を準備する。
納豆はまぁ無理としても、なんとか缶詰の臭いに誘われて猫ちゃんが出てきてくれるといいんだけど……。
「潤君ち、猫ちゃん飼ってたの?」
「あぁ、昔な」
「いいなぁ!うちは母親が猫アレルギーだから飼えなくて……―― 」
地面に餌を置きそんな他愛もない会話をしていると、突然茂みからガサッと音が聞こえてきた。
「にゃ~!」
タタタッ!
見覚えのある三毛猫が一目散にこちらに向かってくる。
どうやら用意した餌が功を奏したらしい。
「昨日の猫ちゃん!」
返事をするかのように「んにゃ~!」ともう一度鳴いた猫は、私が用意した缶詰には見向きもせず、あろうことか納豆にかぶりついたのだった。