「あ、あのね、潤君っ」

「ん?」



隣にいた潤君の視線が、私へと向けられる。



ドキーン



うっ……か、かっこいいっ!



絡まり合った視線に、思わず心臓が跳ね上がる。



はっ、いけないっ!



そのまま見とれてしまいそうな自分に気が付き、慌てて視線を地面へと落とした。



「あの、その……」

「?」



なかなか思うように言葉が出て来てくれない。


困った私は、とりあえず心を落ち着けるために、他に気になっていた当たり障りのない質問をしてみることにした。



「そういえば、いつから私のこと『しーちゃん』って気付いてたの?」



恐らく幼かった潤君は私のフルネームを知らなかっただろうし、私も小学2年生の時にM市の今の一戸建ての家へ引っ越してしまったため、どう考えても私が『しーちゃん』だとは普通は気が付かないだろう。



「あぁ、それか……」



潤君が鼻先を指でさすりながら、なんとなく恥ずかしそうに返事をした。