「潤君……遅いな」
あれから10分程経つのだが、潤君が戻って来る気配がない。
さすがに落ち着きを取り戻した私は、潤君のことがもっと知りたくてもう一度部屋を見渡した。
「あっ! 今日見るDVDかな」
机の上に置かれていたDVDらしきものが目にとまり、立ち上がってパッケージを確認する。
「えーっとなになに? 『タイタ○ック』に『いま、会いに○きます』に『世界○中心で、愛を叫ぶ』……。 こ、これって全部恋愛もの!?」
今まで潤君が貸してくれたり薦めてくれた作品は、ほとんどが動物系か友情系もしくは熱血スポ根系で、恋愛モノはほぼ皆無だった気がする。
「もしかして、私が女の子だからって気を遣ってくれたのかな……」
またしても期待をこめて、自分のいいように解釈してしまう私。
エヘヘ、と再び顔が緩んでしまった。
そんな自分に「もう、私ったら……!」とツッコミを入れ、再び机の上へと視線を落とす。
そこには、勉強で使用するたくさんの参考書の類が、壁に沿って几帳面に並べられていた。
「やっぱ頭のいい人は違うなぁ……。私なんて、教科書とノート以外ほとんど使わないもんね」
そんなことをしみじみと思いながら、更に目を走らせていく。
「あれ?」
すると不意に視界の端に、学習机に似つかわしくない物が飛び込んできた。