「いった~……って、あれ? 痛くない」



柔らかくて温かい感触が私を包み込む。


反射的にギュッと瞑ってしまった目を恐る恐る開けてみると、私は潤君の腕の中にいた。



えっ!? どどどど、どうしようっ!?




今日一番の速さで、胸の鼓動が高鳴りだす。



早く……、早く離れないと、潤君絶対変に思うよね!?



変な意味ではなく、潤君はただ単に私を助けてくれただけだと頭ではわかっているのだが、まるで金縛りにでもあったかのように全然体が動いてくれない。



ドキンドキンドキンドキン



焦りと共に速さを増す鼓動が激し過ぎて、潤君にもその音が伝わってしまいそうだ。



そんな私の耳に、やや焦った感じの潤君の声が響き渡る。



「だ、大丈夫か?」

「っ!」

「ケガとかしてないか?」

「あっ、う、うんっ。ごめんね、大丈夫……」



そう言って慌てて顔を上げた瞬間



バチンッ



「っ!」

「!!」



ものすごい至近距離で潤君と視線がぶつかってしまった。