「お待たせ」


「私たちも今着いたところだよ、ねっ桂馬」


あんなに家を出るときにもたついていたのに、沙耶ちゃんたちよりも待ち合わせの駅に着くのは早かった。


謙虚な受け答えでもなんでもなくて、本当にちょうど着いたところだった。


「あー、たった今着いた」


「悪い、ちょっとバタついて」


そう言って和樹君は隣に並んだ沙耶ちゃんをチラッと見た。少し申し訳なさそうな顔をした沙耶ちゃんに、きっと私と同じように準備に手間取って遅くなったんじゃないかってピンときた。


私と違ってスラリと背が高い沙耶ちゃんは、まるでモデルさんみたいに綺麗だった。同じ高校生だとは思えない。


「さっ、移動しようか」


「……そうだね」


そのままここでおしゃべりでも始めそうだった私と沙耶ちゃんを遮るかのように、桂馬がみんなに声を掛けた。


遊園地の最寄り駅に集合した私たちは、桂馬と私、和樹君と沙耶ちゃんと2人ずつ並んで、目の前に見えている目的地へと歩き出した。


2人きりのときは握り合っていた掌も今は離れてしまって、ちょっと寂しい。


けれど、互いの手が触れるか触れないかの距離で、時々小指同士がぶつかったりしながら歩くほうが、繋いでいるときよりもドキドキ感は大きかった。これは新たな発見だった。