家の中に入り、扉が閉まるのを確認してから、玄関に蹲った。本当に、私をどうしたいんだろう。


ゆっくりと深呼吸をする。


何があったのかお父さんに悟られないように。


桂馬とご飯を食べてくることは伝えてある。送ってもらっているのも知っている。それでも、一人娘の帰りを、今か今かと、毎度リビングで待っているお父さん。


こんな真っ赤な顔をみせるわけにはいかない。


……早く、もとに戻って。平常心、平常心と自分に言い聞かせながら深呼吸を繰り返した。





よし。


「ただいまー」


お父さんの待つ我が家へと、今日もちゃんと帰宅した。