「……」

「……」


お茶の時間が終わった途端に、ピンと糸が張り詰めたような空気が再び2人の間を支配していた。


今日話そうとしていたことはきっと2人とも同じ。さっきまでは誤魔化すように、逃避するように、その話題を意識して無視していた。


気軽に話せる内容の事ではなくて、なかなか切り出せずにいた。


だけど、もう目を背けることはできない。


「ねえ……」


珍しく私から声を発した。ずっと黙っているわけにもいかないと思い、本題に入ろうとしたのはいいけど、なかなか次の言葉は出てこない。


「勝家さんからの連絡……見たよね?」


やっと繋がった言葉は、声が掠れてしまってなんとも聞き取り辛いものになってしまった。


どんなに聞き取りづらい声であっても、同じことを考えていれば断片的な言葉だけでも理解できてしまうもの。私の言葉を聞いて、桂馬はゆっくりと肯いた。


「もちろん見た。……きっと何か手ががりを見つけたんだ。意味不明な文字の羅列もあったけど、そっちは何か分からない」


「……え?桂馬のメールにも?私にも来たよ。二通とも同じものかな」


別で送ってあったから、私だけに送られたものかもしれないと考えていたけど、どうやら桂馬にも届いていたらしい。あの意味不明なメールは一体何を意味しているんだろう。


2人に送ったとなればきっと重要なものだったに違いない。別々に送ったことにもきっと意味がある。


「比較してみるからさ、千夏宛てのも見せて」


そう言って桂馬はずいと右手をこちらに伸ばしてくる。早くと急かす手に、慌ててメール画面を表示しようと携帯を操作する。


「ちょっと待って……あった!はい、これだよ」