お父さんと向かい合っての夕飯を終えて、すぐに入浴も済ませてしまい、2人ともそれぞれの時間を自室で過ごすことにした。


いつもならリビングのテレビをゴロゴロしながら見つめているけど、今日はベッドへとダイブしたい気分だった。だから早々に部屋へと籠ることにした。


そこで部屋に置き去りにしていた携帯の存在に気が付いた。


「やばい、存在忘れた」


ついつい、独り言が漏れてしまった。掃除した後から、要するに数時間は放置していたことになる。


っと言っても、私に来る連絡は桂馬くらいだから。謝れば済むよね。


軽い気持ちで携帯を手にすると、予想通りの通知に、小さく笑みが零れた。





――RuRuRuRu


もう寝ているなんてことはないだろう。そう決めつけて操作した携帯を耳に宛てると、規則的な機械音が聞こえてきた。


『もしもし?』


3コール目で、聞きたかった声が耳に届く。


「ごめん、今日一日連絡出来なくて……」


何か言われる前にと、早口に謝罪の言葉をのせた。自分の事に集中しすぎていた上に、知らない間に爆睡してしまっていて、連絡をほとんどしていなかった。


『いいよ、どうせ張り切りすぎて寝てたんだろ?』


「……おっしゃる通りです」


まるで私の行動を一部始終見ていたんじゃないかというくらいに、的確に言い当てられてしまった。これじゃあ、言い訳のしようもない。


『千夏は極端だからなー。一個に集中し始めると、周り見えないもんな』


クスクスと漏れしまっている声に、顔が見えなくても笑っているのが分かる。もう本当に何も言えない。
でも、ここまで私の事を分かってくれていて、尚且つ理解を示してくれていることがありがたい。