次の日、宣言通りに家事に勤しむ一日を過ごすことにした。それは、イコール久しぶりに桂馬に一時も会わずに過ごす一日にするという事。


けたたましくなる目覚まし時計によって強制的に覚醒し、朝ごはん作りからスタートさせた。


起きてすぐにリビングに降りると、もちろんお父さんはまだ起きていなくて、テーブルの上には昨日の夜食べたであろうお弁当の空が置いたままになっていた。


カーテンを開けると、薄暗い部屋に眩しいくらいの光が差し込んできた。夏の朝は明るくなるのが早い。





「……よし、出来た」


そろそろかな。作り終えて時計を確認すると、ちょうどお父さんの起床予定時刻になっていた。


ただ朝が苦手なお父さんが時間通りに起きてくる気配はない。


起こしに行くのは面倒だからと、電話へと手を伸ばす。携帯を鳴らしてもバイブレーションだけでは絶対に起きないから、子機を鳴らすことにした。


数コール鳴らした辺りで、リビングのすぐ上の部屋からガタガタと物音がしてきた。やっと起きたらしい。


もう一度キッチンへと戻り、味噌汁とご飯を装って、テーブルへと並べた。


タイミングを見計らったかのように、階段を降りてくる足音が聞こえてきた。


「おはよう」


寝ぼけ眼のままのお父さんがリビングへとのそのそと入ってきた。


「おはよう」


いつもと変わらないお父さんに気持ちも緩んで、笑って返事をした。