それから、中西家のリビングで長々と話をした。


勝家さんの今までのこと、そして私たちの過去の事。この前桂馬に話した時ほど、心乱すことはなかった。


だって、みんな同じような経験をしてここまで生きてきて、気持ちは痛いほどに分かるから。だから、消える家族や友人の存在を見て見ぬふりをしてきたことへの後悔の念も、なんて薄情な奴なんだという自責の念も、敢えて触れなくてもみんなに存在することは分かりきっている。


話に夢中になって、時間の経過なんて全く気に留めていなかった。開けっぱなしだったカーテンから外を見ると、明るかったはずなのにいつの間にか真っ暗になってしまっている。





――ぐぅーっ


「……///」

「「ハハハハハっ」」


それに気づいたのは、私のお腹から聞こえてきた、空腹を訴える音だった。みんなに聞こえる大きさの音で鳴っta
ことが恥ずかしくて、赤くなっているはずの顔を見られないように、慌てて俯いた。


「ごめん、千夏ちゃん。俺が長居しちゃったせいだよね。もう帰るから」


まだ笑いを完全には堪えきれていない状態で、勝家さんは気を遣って言ってくれた。それに引き換え、桂馬はいつまで笑っているんだ。隣に居る桂馬をぎろりと睨みつけた。そして、


「……イッてー」


腹が立ったから、思い切り足を踏みつけてやった。そんなに腹抱えて笑い続ける必要はないじゃないか。空腹なんて生理現象なんだから、仕方ないはずなのに。





20時を過ぎたころ、いつでも連絡が取れるように連絡先を交換したうえで、勝家さんは帰って行った。


「少し調べてみる」そう言い残して。私たちはまだ何もしないように、それも念を押して言っていた。


もっと自分たちの事を知りたいという好奇心が芽生えてきたことを見透かされたような、何とも複雑な気分で勝家さんを桂馬と2人で見送った。