日曜日の夕方、早めにみんな帰路に着くんだろう。昼間はあんなに人が多かったのが嘘のように、まばらになってきている。
観覧車の列に並ぶと、すぐに私たちの順番がやってきた。
まずは和樹君と沙耶ちゃんがやってきたゴンドラへと乗り込んでいく。
そして、2人がゆっくりと浮上していくのを眺めている間に、私たちの順番もやってきた。私は桂馬に腰を支えられながら、ゴンドラが大きく揺れないように静かにそっと乗り込んだ。
「うわー、綺麗だね」
少しずつ暗くなり始めて、街に明りが灯る。高い位置から見下ろすそれは、とても綺麗で、幻想的だった。
下を覗き込みながら1人で興奮してしまっていた。
「綺麗だな。今日は、ありがとう。俺と和樹のわがままに付き合ってくれて」
少しだけ申し訳なさそうな顔をして桂馬が呟いた。お礼を言いたいのはこっちなのに。
わがままだなんて。そんなことないのに。だって……
「新鮮ですごく楽しい1日だったよ。誘ってくれてありがとう」
最初に嫌って気持ちがあったことは否定できないけど、楽しかったというのは本当のこと。来てよかったって心から思える1日だった。
「……また来たいね。今度は2人で」
ボソリと呟いたあとにハッとした。こんなタイミングで言うつもりなんてなかったのに、つい漏らしてしまった本音。
「そうだな、今度は2人でな。約束」
小さな声で言ったのに、桂馬ははっきりと答えてくれた。……すごく嬉しい。
「うん、約束。楽しみにしてる」
はっきりと言ってくれる桂馬に、私も素直に頷いて答えた。そして、差し出された小指に自分の小指を絡めて、子どもみたいだねって2人で笑った。
“約束”その言葉は、心に響いて、そして心に突き刺さる。
帰り道は、いつもより2人とも口数が少なかった。そんな沈黙も居心地が悪いなんてことはなくて、自然な間。
ただ、真っ暗な空間は心にも闇を広げていく。楽しい時間だったからこそ考えてしまうこともある。願ってしまうことがある。
桂馬とまた遊園地デートが出来ますように。誰にも聞こえないように、独り心の中でだけ呟いた。
だってこの約束も、もしかしたら消えてしまうかもしれないことを私は知っているから。
当たり前だと思っている日常は、いつの間にか私を置いて変わっていくから。
そんな事を考えると、少し切ない気持ちになった。可笑しいな、もう慣れたはずなのに。
観覧車の列に並ぶと、すぐに私たちの順番がやってきた。
まずは和樹君と沙耶ちゃんがやってきたゴンドラへと乗り込んでいく。
そして、2人がゆっくりと浮上していくのを眺めている間に、私たちの順番もやってきた。私は桂馬に腰を支えられながら、ゴンドラが大きく揺れないように静かにそっと乗り込んだ。
「うわー、綺麗だね」
少しずつ暗くなり始めて、街に明りが灯る。高い位置から見下ろすそれは、とても綺麗で、幻想的だった。
下を覗き込みながら1人で興奮してしまっていた。
「綺麗だな。今日は、ありがとう。俺と和樹のわがままに付き合ってくれて」
少しだけ申し訳なさそうな顔をして桂馬が呟いた。お礼を言いたいのはこっちなのに。
わがままだなんて。そんなことないのに。だって……
「新鮮ですごく楽しい1日だったよ。誘ってくれてありがとう」
最初に嫌って気持ちがあったことは否定できないけど、楽しかったというのは本当のこと。来てよかったって心から思える1日だった。
「……また来たいね。今度は2人で」
ボソリと呟いたあとにハッとした。こんなタイミングで言うつもりなんてなかったのに、つい漏らしてしまった本音。
「そうだな、今度は2人でな。約束」
小さな声で言ったのに、桂馬ははっきりと答えてくれた。……すごく嬉しい。
「うん、約束。楽しみにしてる」
はっきりと言ってくれる桂馬に、私も素直に頷いて答えた。そして、差し出された小指に自分の小指を絡めて、子どもみたいだねって2人で笑った。
“約束”その言葉は、心に響いて、そして心に突き刺さる。
帰り道は、いつもより2人とも口数が少なかった。そんな沈黙も居心地が悪いなんてことはなくて、自然な間。
ただ、真っ暗な空間は心にも闇を広げていく。楽しい時間だったからこそ考えてしまうこともある。願ってしまうことがある。
桂馬とまた遊園地デートが出来ますように。誰にも聞こえないように、独り心の中でだけ呟いた。
だってこの約束も、もしかしたら消えてしまうかもしれないことを私は知っているから。
当たり前だと思っている日常は、いつの間にか私を置いて変わっていくから。
そんな事を考えると、少し切ない気持ちになった。可笑しいな、もう慣れたはずなのに。