「行ってきます」
今日もコソッと言ったつもりだった。
まさかお母さんが聞いているなんて思ってもみなかったんだ。
「・・・行ってらっしゃい」
私の呟きと同じくらいの小さな呟きが響いた。
すぐに分かったよ。
誰の声か、なんて。
そんなの簡単だよ。
お母さん、ありがとう。
今日はなんだか元気が出た。
いつもとは違った朝に驚きながらも、
私は心の中でもう1度
行ってきます
と言って家を出た。
学校の校門にたどり着けば、
やっぱり悪口は絶えないもので。
「え!ちょっとあれ!
今日も来てたんだ。最近邪魔じゃない?」
「分かる、分かる。
亜美ちゃんがかわいそうだしっ!」